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淺田まめ知識

9 レボミル🄬のビーズの挙動について

1.はじめに

技術革新が進む近年、様々な業界で機能粒子の微細化が望まれている。最終製品時に微細な粒子がもつ材料特性を最大限発揮させるためには、凝集体を一次粒子付近まで均一かつダメージレスで分散することが必要とされる。分散の手法としてボールミルやビーズミルに代表される媒体を用いた分散機が数多く採用されてきた。その中には小径ビーズが使用可能な分散機も数多くあるが、粒子にダメージを与えないソフトな条件下での運転が可能な機種は限られているように思う。
今回、当社のベッセル回転式分散機レボミルに透明ベッセルを取付け、粒子にダメージを与えないソフトな運転条件でのビーズ挙動を可視化した。

2.可視化実験

①使用機種 : レボミル(型式:RV-L 分散部実容積0.35L ピン型アジテータ)
②試  料 : CMC水溶液(液粘度:100mPa・sに調整)
③使用ビーズ: ジルコニアビーズφ0.05mm(白色):φ0.5mm(灰色)=3:1
充填率80%

3.実験結果

各種条件でレボミルの運転を行い、ビーズの挙動を動画に収めた。
代表的な運転データを表1に示す。

表1. 運転データ

No. アジテータ
回転数
(rpm)
ベッセル
回転数
(rpm)
相対周速
(m/s)
吐出量
(g/min)
ポンプ圧力
(MPa)
1 800 0 4 100 0.1602
2 1200 400 4 100 0.0190
3 1600 800 4 300 0.0168
4 1600 800 4 1800 0.0580

4.考察

表1のNo.1は、アジテータ800rpm(周速4m/s)、ベッセル0rpmで試料を約100g/minの流量で送液したものである。動画を観察すると、アジテータ内部から外側へビーズが吐出し、斜め方向に動いていることがわかる。アジテータ外周部に径の大きな灰色ビーズ(φ0.5mm)が多く存在していることから、白色ビーズ(φ0.05mm)はアジテータ内側に密集しているものと考えられる。よって、径の大きな灰色ビーズのみが循環し、径の小さな白色ビーズはアジテータ内側でパッキング状態にあり、その結果ポンプ圧力が高くなっている(0.1602MPa)と推測される。

No.2は、アジテータ1200rpm、ベッセル400rpmで回転させ、これらの回転数差を上記No.1と同じ800rpmとすることで相対周速を4m/sとした。また、試料をNo.1の3倍の300g/minで送液した。動画を観察すると、白色ビーズの量がNo.1よりも多いことがわかる。ベッセルの回転によりアジテータ内部でのビーズのパッキングが解消され、径の小さな白色ビーズも循環し始めたことを意味する。

No.1、No.2比較動画

No.3は、No.2と同じ相対周速4m/sであるが、No.2よりも高速回転領域(アジテータ:1600rpm、ベッセル800rpm)である。その他条件は同じである。動画を観察すると、アジテータ外周付近のビーズは循環せず、円周方向の運動のみであることがわかる。ベッセルの高速回転により、ビーズが受ける遠心力が液流れ方向の力よりも優位になったと考えられる。さらに、径の大きな灰色ビーズはベッセル両端に押し出され、径の小さな白色ビーズは遠心加速度の大きいアジテータ中央部に留まっていることがわかる。

No.2、No.3比較動画

No.4は、No.3と同じ回転数で運転し、試料を6倍の1800g/minで送液したものである。白色ビーズの若干の循環がみられるが、ビーズの挙動はNo.3とほぼ同じである。送液量はまだ余裕があるものと考えられる。

No.3、No.4比較動画

5.結論

これらのことから、レボミルは小径ビーズを用いた低周速かつ高吐出運転でも出口側へのビーズの偏りがなく安定した運転が行えることが分かった。
アジテータとベッセルの回転数を調整することで、様々な処理材料の性質・用途に応じた分散が行え、従来の一軸式分散機と比較して幅広い分野での使用が期待できる。





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