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淺田まめ知識

10 LIB正極材の新製造プロセスについて(LMFP正極 水系)

タフミル®を用いたカーボンペーストの作製と
Li(Mn0.8Fe0.2)PO4正極の電極特性

高粘度分散機タフミルを用いてカーボンペーストの作製を行い、リン酸マンガン鉄リチウム正極の電池特性について調べた。

1.タフミルについて

タフミルは、高粘度ペースト対応の横型媒体式分散機である。
今回、タフミル TMH-G3M型を使用し、カーボンペーストの作製を行った。

2.電極スラリーの製造方法について

従来の電極スラリー製造は、多軸プラネタリーミキサーに導電助材、バインダー、溶媒及び活物質を投入し、混練することが主流であった。
ここでは新製造プロセスとして、分散機タフミルを用いてあらかじめ導電助材を均一分散させたカーボンペーストを作製することからスタートさせた。その後、このカーボンペーストにリン酸マンガン鉄リチウム正極材を追加し、自公転式混練機にて電極スラリーを作製した。

3.カーボンペーストの作製

タフミルを用いてアジテータ周速(6m/s、8m/s、10m/s)と送液量(1000g/min、2000g/min)を変化させ、6水準のカーボンペーストを作製した。
なお、その他のパラメータ(ビーズ、循環スクリュー周速等)は一定とした。

カーボンペーストは、アセチレンブラック:アクリル水系バインダー=50:50(wt.%)とし、固形分濃度は13wt.%とした。

4.コインセルの作製

コインセルを作製し、サイクル特性、高率放電特性と直流内部抵抗の測定を行った。
電極スラリーは下記に示す2パターンの製法で作製した。
①プラネタリーミキサーにて全配合混練する従来法
②タフミルにて作製したカーボンペーストに活物質を含むその他材料を加え、自公転式混練機を用いて混練する新製造プロセス。なお、組成はいずれもLMFP:AB:水系バインダー=90:5:5(wt.%)とし、スラリー固形分濃度は53wt.%とした。

5.電極特性

従来法と新製造プロセスで作製したコインセルの各特性の比較を行った。
サイクル特性は従来法と新製造プロセスで大きな差はみられなかった。また新製造プロセスにてカーボンペーストの作製に使用したタフミルのアジテータ周速および送液量による違いもみられなかった。
高率放電特性を従来法と新製造プロセス(タフミル アジテータ周速10m/s時)で比較すると、0.1C率から1.0C率までは顕著な差はみられなかったものの、2.0C率、3.0C率の高レート時には新製造プロセスの容量維持率が高かった。
出力試験時の平均電圧と電流レートから算出した直流内部抵抗値は、タフミルを用いた新製造プロセスの場合、アジテータ周速を上げるほど低下する傾向にあり、また送液量を上げるほど低下した。





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